国共病組

国共病組とは国家公務員共済組合連合会病院労働組合です

国共病組(こっきょうびょうそ)は国家公務員共済組合連合会病院で働く仲間の労働組合です。
国共病組の正式名は「国家公務員共済組合連合会病院労働組合」と言い、1959年2月に結成されました。
連合会病院の14の病院が結集している組合です。連合会病院で働く仲間は、職種や雇用形態にかかわらず、どなたでも加入できます。
患者さんから喜んでもらえる仕事がしたい。明るく生き生きと健康で働き続けたい。
そして自らの生活をより人間らしく豊かなものにしたい。 こんな思いを実現するために労働組合は存在しています。
組合には、仲間の暖かい心、人間的なふれあいがあります。 何でも話し合い、信頼しあう人間関係があります。
あなたの悩みをともに悩み、理解して、一緒に解決しようという仲間がいます。
希望に燃えて、働くことの楽しさ、生きていることの喜びを、心から感じることのできる職場を一緒に、力を合わせて作っていきませんか。

  

110428 新給与制度案に対する見解

2011年4月28日 国共病組

1.労使合意を無視する連合会の不誠実な態度

 連合会病院給与制度検討委員会報告書が提示された。2008年度(平成20年度)からの5か年の「経営基盤強化のための中期計画」に則り、「医療の質の向上や安定的な経営基盤の構築に貢献した職員への適切な処遇と優秀な人材の育成・確保を図るため」、勤務評価制度を導入し、給与制度を変更する、としているが、勤務評価の給与への具体的な反映方法や、その他の給与制度の変更案が示されたのは、今回がはじめてである。
 これから労使協議がはじまることになるが、連合会はすでに5月に院内説明会、評価者研修などを設定している。「制度導入ありき」で既成事実化していくやり口は、これまでも繰り返されてきたことであるが、労使協議、労使合意無視の姿勢と言わざるを得ない。また、昨年の勤務評価2次試行の際の中央労働委員会における、「労働条件の問題は誠実に協議をすること、賃金制度は時間的余裕をもって提案すること」というあっせんを踏みにじるものである。「組合には説明すればこと足りる」として、一方的に強行実施をしようとする連合会の態度は、断じて許されない。
 事は賃金という労働条件の根幹にかかわる課題であり、国共病組は労使協議を尽くし、一方的実施は行わないよう強く求め、あらゆる運動をすすめていく。

2.国公準拠を盾に諸手当の一方的廃止は許されない

 今回の給与制度検討委員会報告書の中では、「給与決定原則」として「国公準拠と個別病院の業務実績」があげられている。しかし、連合会病院は民間病院であり、賃金などの労働条件は当然、労使協議によって決められるべきである。
 これまでも連合会は国公準拠を盾に、政府の公務員賃金抑制方針にそった2年連続の賃下げをしてきた。とくに2010年は診療報酬改定によって民間病院の給与が全般的に引き上げられたにもかかわらず、連合会は国公準拠で賃下げの不利益遡及を強行した。
そして、今回の給与制度改悪の提案であるが、高額家賃負担者軽減措置、年末年始勤務手当、早出手当、人工透析従事手当など、これまで労使協議で積み上げてきた諸手当を、「国で認められていない」ことを理由として、一方的に廃止しようとしている。とくに年末年始勤務手当と早出手当は、多くの民間病院で実施されている手当であり、24時間、365日開いている医療の特殊性を鑑みれば、単に国公準拠だからという理由で削ることは、医療の現場の実態を無視した乱暴なやり方と言わざるを得ない。
 一時金についても、「個別病院の業務実績を勘案して決定」するとしているが、立地条件や規模、設備投資の違いなどを考慮せず、連合会病院の特殊性も無視して赤字・黒字を論ずることは誤りである。これにより、職員の賃金が病院間で差ができることになるが、赤字経営の責任を職員に転嫁するのではなく、病院長およびその任命権者である連合会が経営責任を問われるべきである。

3.賃金ダウン、人件費抑制が明白になった

 一般職員の諸手当が削られる一方で、管理職ではない役付者の手当が月1万円引き上げられ、範囲も係長・主任レベルまで広げられる。勤務評価制度の評価者に対する手当の増額である。
 さらに、「年功的要素の排除」という名目で、勤務評価制度導入にともない、5年2号俸在職者調整や長期勤続者の退職時4号俸特別昇給などが廃止されようとしている。これらの制度の廃止によって、大きな財源が得られることが、今回の提案で明白になったと言える。5年2号俸在職者調整は、医療が他産業に比べて賃金が低いこと、公務員に比較しても年齢的に低い構成となる医療では公務員同率賃上げでは低額であること、公務員の特昇制度に準じていないなどのもとでとられてきた措置であり、制度見直しを口実にそれらを廃止することは許されない。
 連合会は「人件費を削減することが目的ではない」と明言していたが、これまでどおり働いて4号俸ずつ昇給し、昇格も制限されることとなる大多数の職員にとっては、賃金水準の大幅な引き下げであり、生涯賃金の大きな低下である。諸手当・諸制度の廃止によって得られる財源を使って成績優秀者に集中して賃金を配分するというが、5号俸昇給のB評価は20%以内、6号俸昇給のA評価は5%以内に制限されており、競争をあおり、大多数の職員の昇給を抑え込もうということに他ならない。

4.チーム医療を破壊する勤務評価制度の導入は止めるべき

 連合会は、「医療の質の向上や安定的な経営基盤の構築に貢献した職員への適切な処遇と優秀な人材の育成・確保を図るため」であると、勤務評価制度のプラス面を強調してきた。しかし、今回の提案によって、国共病組が一貫して指摘してきた「勤務評価制度を導入すれば、職員同士が競わされ、職場のチームワークが破壊されるのではないか」という、医療機関の根幹に関わる問題点、マイナス面も明白になった。毎年の目標管理や評価で賃金が上下することは職員を疲弊させる。離職者が増えることも懸念される。安心・安全な医療を守れなくなり、患者にしわ寄せがいくことも確実である。患者が離れ、職員も去っていくような病院では、「安定的な経営基盤の構築」など望むべくもない。
 連合会は6月導入にこだわらず、労使合意を目指して十分な協議を尽くすべきである。

以上