「継続協議」と言いながら協定破棄の不誠実
9月10日の団体交渉により、新給与制度の10月1日実施は見送られました。その後、9月18日付「再修正案」が届き、施行日2013年1月1日への延期、高額家賃補助、早出手当、人工透析手当廃止の経過措置を1年延期して、2013年度までは全額、2014年度は1/2、2015年度廃止という提案がありました。組合はこれらを次回10月交渉の中心的課題であると理解していました。
ところが9月21日、連合会は「協定解約予告」をもってきました。これまで労使の話し合いで積み上げてきたいくつもの労使協定を、12月20日に解約するという内容で、新給与制度を1月1日に強行実施すると宣言したのです。昨年9月の中労委あっせんで、連合会は「勤務評価制度を実施するに当たり……組合と十分協議をするものとする」と言われています。交渉では「継続協議」と言いながら、その10日後には一方的に協定破棄予告をしてくるとは、なんと不誠実な態度でしょうか!
協定破棄は労使の信頼関係を壊す行為
給与、労働時間、休日など、労働条件について労使で合意して書面で約束したものを労働協約とか協定などといいます。労働組合法第15条(3)(4)の規定により、相手方に90日前に予告すれば解約することはできますが、これまで労使の話し合いで決めてきたものを一方的に破棄するのでは、労使の信頼関係を壊してしまいます。新給与制度を強行実施するつもりで、形だけの団体交渉を重ねても、それは不誠実団交という不当労働行為です。連合会は「継続協議」を約束したのですから、協定破棄を撤回して、労使合意めざして誠実な交渉を尽くすべきです。
1月実施なのに冬季一時金に評価結果を反映?
新給与制度が1月1日実施であるなら、12月の冬季一時金への勤務評価結果と病院実績の反映はできないはずです。組合は新給与制度案のすべてに反対しているわけではなく、職務手当の増額、医師特別調整手当の増額など、労使合意できるところから協定を結べばよいと考えますが、連合会が一括実施にこだわって1月1日を提案しています。なのに、冬季一時金への勤務評価結果と病院実績の反映だけは先に実施したいというのは理解できません。協定破棄したとしても、一時金支給日に間に合わないのではありませんか?
「チーム医療に悪影響」連合会いまだ回答せず
新給与制度の根幹である勤務評価制度について、組合は、他の人よりもよい評価を得ようと職員同士が競わされ、チーム医療が破壊されるのではないかと心配しています。しかし、連合会はこの懸念に対していまだにまともな回答をしていません。いまでも忙しいのに、よりいっそう忙しく働かされ、その一方で、高位号俸の頭打ち、5年2号俸昇給の廃止や諸手当の廃止で賃金が下げられては、不満ばかりが高まります。制度導入の目的である「職員のモチベーションを高め、職場を活性化させる」制度であるとはとても思えません。そもそも、えこひいきやパワハラ、労務管理ができない、労基法すら守らない評価者の問題を解決するほうが先でしょう。信頼できない評価で給与が決まるのでは、職員はやる気を失いかねません。