国共病組

国共病組とは国家公務員共済組合連合会病院労働組合です

国共病組(こっきょうびょうそ)は国家公務員共済組合連合会病院で働く仲間の労働組合です。
国共病組の正式名は「国家公務員共済組合連合会病院労働組合」と言い、1959年2月に結成されました。
連合会病院の14の病院が結集している組合です。連合会病院で働く仲間は、職種や雇用形態にかかわらず、どなたでも加入できます。
患者さんから喜んでもらえる仕事がしたい。明るく生き生きと健康で働き続けたい。
そして自らの生活をより人間らしく豊かなものにしたい。 こんな思いを実現するために労働組合は存在しています。
組合には、仲間の暖かい心、人間的なふれあいがあります。 何でも話し合い、信頼しあう人間関係があります。
あなたの悩みをともに悩み、理解して、一緒に解決しようという仲間がいます。
希望に燃えて、働くことの楽しさ、生きていることの喜びを、心から感じることのできる職場を一緒に、力を合わせて作っていきませんか。

  

100802 第2次試行を既成事実化せず、労使交渉を尽くすよう求める申し入れ

2010年8月2日

国家公務員共済組合連合会

 理事長 尾原 榮夫  殿

国家公務員共済組合連合会病院職員労働組合

 

中央執行委員長  吉川 はま子

第2次試行を既成事実化せず、労使交渉を尽くすよう求める申し入れ

1. 7月28日付で遅れていた貴職の回答書をいただきました。貴職は「今後も話し合う」と言われますが、国共病組が求めた資料の提示もなく、国共病組の指摘する問題点に踏み込んだ具体的な回答にもなっていません(別添「7・28回答に対する国共病組の見解」を参照のこと)。にもかかわらず、勤務評価制度の9月からの第2次試行、来年4月からの本実施にあくまで固執されており、残念ながら、これでは不誠実な回答と言わざるを得ません。

2. 本日の交渉を踏まえ、7月12日付申し入れ書に対する文書による誠実な再回答を求めるとともに、特に以下の点を指摘し、第2次試行の9月実施を強行せず、労使交渉を尽くされるよう強く申し入れます。なお、貴職が国共病組の指摘を受け入れず、不誠実な交渉姿勢を続けられる場合には、労働委員会活用も辞さない決意であることを念のため申し添えます。

(1) 何度も指摘しているように、勤務評価制度は労働条件の根幹である賃金制度そのものです。したがって、労使対等原則に基づく労使交渉が尽くされることが必要です。第1次試行に関するアンケート結果が示されたのが6月7日、第1次試行の総括や第2次試行の実施要綱案が示されたのが6月28日であり、それに基づく中央交渉は7月12日が第1回目で、本日が2回目です。交渉が尽くされたと言えないことは明らかです。

(2) 世にいう成果主義賃金に対する国共病組と貴職の評価には大きな違いがあります。だからこそ、国共病組は労使の隔たりを埋めるために客観的な資料の提示や説明を求めましたが、貴職は今回、それを拒否されました。誠実な交渉の前提条件として、それらの資料提示を直ちに行うべきです。

(3) 貴職は連合会の準備状況をいろいろと説明されていますが、6月28日に示された看護職の勤務評価表(様式9)は、誰が見ても看護学校等の教育現場を想定した内容です。ミスであることは明らかですが、これが労働組合に提示されたこと自体、貴職の内部検討が不十分であり、急ピッチの準備だったことを示すものと言えます。拙速な実施は混乱を招くだけであり、労使による十分な検討時間が必要なことは明らかです。

以 上

別添) 7・28回答に対する国共病組の見解

別添) 7・28回答に対する国共病組の見解

指摘事項1に対する回答について

連合会回答) 勤務評価については、平成17年の人事院勧告を契機として評価制度を整備していくことが重要と判断し、平成19年4月に勤務評価制度検討委員会を設置し検討を行い、平成20年2月に制度案のとりまとめがなされました。同年7月からは6病院において制度案の実証的な検証を行い、必要な修正を行ったうえで、平成21年度は全病院の半数の職員を対象に1次試行を行ったところであり、直営病院約7千名の職員のうち約5千名の方に参加いただきました。また、1次試行結果の検証のために行ったアンケートについては、参加者のうち、約3千名(回収率57.0%)の方から回答をいただいたところであり、その結果を踏まえて、評価項目数の削減などの負担軽減や、試行期間の延長など必要な見直しを行い、本年6月には2次試行の実施について貴組合に提示したところです。2次試行終了後には、アンケートを行うなどによりその結果の検証を行い、それを踏まえて、本格実施の制度案をとりまとめ、貴組合に提示し、協議していく考えであります。

【国共病組の見解】
(1) 「平成17年度の人事院勧告を契機として評価委制度を整備していくことが重要と判断」したとして、その後の連合会内部での検討状況を述べているが、国共病組の指摘は「本件は賃金制度に関する課題であり、労使交渉課題です。第1次試行についての労使検討、職場での検証・総括をきちんと行い、その総括を踏まえた上で第2次試行を行うことがあるべき姿です。貴職の内部検討だけに基づく第2次試行実施要綱などを説明しただけで、労使の話し合いなく、一方的に第2次試行を既成事実にすることは許され」ず、労使交渉は緒についたばかりだから、「9月からの第2次試行、来年度からの本実施というスケジュールに固執すべきではない」というもの。この点(=労使協議事項であり、誠実交渉を尽くし、一方的な実施を慎むべきこと)についての回答を回避しており、事実上の「9月からの第2次試行、来年度からの本実施」の実行宣言と言われても仕方ない回答である。
(2)  準備を重ねてきたかのように回答しているが、「6月28日に示された看護職の勤務評価表(様式9)は、誰が見ても看護学校等の教育現場を想定した内容になっており、ミスであることは明白」であり、「これが労働組合に提示されたこと自体、貴職の内部検討が不十分であり、急ピッチの準備だったことを示すもの」との国共病組の指摘に対しても回答を回避している。
(3)  そのうえで、「2次試行終了後には、アンケートを行うなどによりその結果の検証を行い、それを踏まえて、本格実施の制度案をとりまとめ、貴組合に提示し、協議していく考え」としているが、これは、第2次試行前のこれ以上の話し合い拒否とも取れる回答であり、誠実な労使交渉を尽くす姿勢にないことを自ら表明するものである。
(4) 同時に、上記「(3)」に引用した回答は、第2次試行終了(来年2月)後から本格実施(来年4月)までの間に本格実施の制度案を提示し話し合うと言うのだから、時間はほとんどない。よって、本格実施についても労使合意なき見切り発車が強く懸念される回答と言わざるを得ない。

指摘事項2の大項目に対する回答について

連合会回答) 評価者による評価のばらつきがないように、評価者は評価者研修を受講するとともに、試行を実施することで均一化を図っていきます。また、2次評価者は1次評価者と評価の方法について必要に応じてよく話し合い、指導していくことを考えています。
 また、試行においては、結果の開示はしませんが、本格実施では、結果の開示請求があった場合には結果の開示をすることを考えています。
 なお、被評価者から評価に関する苦情等の申出があった場合には、事務部において相談対応することを考えています。さらに、試行においては実施しませんが、相談窓口で解決されなかった苦情を処理するため、院内に苦情処理委員会を設けて処理をすることを考えています。

【国共病組の見解】
(5) いわば努力の表明に止まっているのであって、「真に公平な評価が担保されているのか、チーム医療を壊しかねないのではないかという国共病組の懸念」に対する具体的な回答になっていない。なお、本格実施に向けて、事後的な「結果の開示」「苦情処理委員会の設置」を検討することが表明された。

指摘事項2の(1)に対する回答について

連合会回答) 評価制度の良し悪しについて、世間ではいろいろな意見が出されているところですが、連合会としては、職員の貢献度に応じた人事処遇、時代の変化に応じた人材育成、適材適所の人事配置を行うため、一人ひとりの勤務実績や職務能力を評価するために、統一した勤務評価制度を導入することとしました。

【国共病組の見解】
(6) 「世間ではいろいろな意見が出されているところですが、連合会としては……統一した勤務評価制度を導入することとしました」として、何の論証もなく、勤務評価制度の導入を既成事実化する不当な回答と言わざるを得ない。裏を返せば、国共病組が指摘した成果主義賃金や評価制度の問題点について、有効な反論ができなかったということ。

指摘事項2の(2)に対する回答について

連合会回答) 成果評価における目標は、個人目標のほか、チーム目標として設定できるようにしています。また、プロセス評価でも、その評価項目として「チーム医療の展開」を設け、関係者との協力関係をつくっているかなどを評価することとしており、チーム医療にも配慮した制度設計としております。
 1次試行によって得られた成果、及び把握された課題への対応については、1次試行結果の総括として平成22年6月28日付事務連絡職第49号で回答した別紙1のとおりであり、そのなかでも回答しているとおり、評価の均一性を確保するため、プロセス評価の行動基準ごとにa、b、cを設けるなど、評価の目安を設定しました。
 なお、2次試行終了後には、アンケートを行うなどによりその結果の検証を行い、それを踏まえて、本格実施の制度案をとりまとめ、貴組合に提示し、協議していく考えであります。

【国共病組の見解】
(7) 鄯)チーム目標を設定できるようにしたこと、鄱)プロセス評価に「チーム医療の展開」という評価項目を設けていることをあげて、「チーム医療にも配慮した制度設計をしております」と回答している。しかし、評価制度をめぐっては、評価のための競い合い、賃金への反映という差別化制度のあり様に批判が集中しているのであり、国共病組が指摘した「評価をめぐって不満が渦巻き、チーム医療を壊すという問題点」への具体的な回答にはなっていない。つまり、大多数が納得する真に公平な評価をどのように担保するのか、説明されていないということ。
(8) 連合会は「評価の均一性を確保するため、プロセス評価の行動基準ごとにa、b、cを設けるなど、評価の目安を設定」したと回答している。しかし、「a、b、c」という評価の目安は、「a=このような行動が、非常によく見られる、b=このような行動が、よく見られる、c=このような行動が、ほとんど見られない」という曖昧な基準であり、この基準で「評価の均一性を確保」することが本当にできるのか、具体的な説明はない。むしろ、評価者の主観に左右される要素が高い基準ではないかとの懸念を抱かざるを得ない。

指摘事項2の(3)に対する回答について

連合会回答) 連合会としては、職員の貢献度に応じた人事処遇、時代の変化に応じた人材育成、適材適所の人事配置を行うため、一人ひとりの勤務実績や職務能力を評価するために、統一した勤務評価制度を導入することを前提とし、制度の理解や運用面での改善点をアンケート等によって検証することとしており、目的が異なるアンケートとは対比ができないものと考えます。

【国共病組の見解】
(9) 「制度の理解や運用面での改善点をアンケート等によって検証することとしており、目的が異なるアンケートとは対比ができない」と回答し、国共病組のアンケートへのコメントを拒否している。これは、勤務評価制度の導入を労使協議事項ではなく、すでに既成事実化していると批判されても仕方ない、不誠実な回答と言わざるを得ない。

指摘事項2の(4)に対する回答について
連合会回答) 組織の一員として職務・職責に応じた目標としなければなりませんので、1つ以上はチーム目標に沿ったものを入れることとしております。
 また、目標設定を行う場合、それぞれの組織において、全員で目標設定のミーティングを行い、メンバー個々人の役割を確認することなども一つの方法と考えております。

【国共病組の見解】
(10) 回答は、鄯)1つ以上はチーム目標に沿った目標を入れること、鄱)全員で目標設定のミーティングを行うと言うのみであり、「どうして集団的な目標設定と職場討議ではダメで、個人目標を設定し短期的な評価を賃金に反映する勤務評価制度でなければならないのか、その理由を明確にわかるようにご説明ください」という国共病組の質問事項への回答になっていない。むしろ、チーム目標の重要性を認めざるを得なかった回答と言うこともできるのではないか。

指摘事項3の(1)に対する回答について

連合会回答) 今後も必要な資料の提供や説明等は続けてまいります。
 なお、アンケートの全記述回答の開示につきましては、平成22年7月8日付事務連絡職第50号で回答した記の1のとおりです。

【国共病組の見解】
(11) 労使の意見の隔たりが大きいもとで、国共病組は建設的な労使交渉をすすめる観点から、客観的な資料の提示や労使共同のアンケートの実施を再度求めたにもかかわらず、連合会からは今回、何ら資料提示がなかったのであり、不誠実な交渉姿勢と言わざるを得ない。

指摘事項3の(2)に対する回答について

連合会回答) 1次試行における評価結果は、病院によって評価期間が様々であることなどから、評価の分布状況などを整理した資料は、作成しておりません。

【国共病組の見解】
(12) これも前記「(11)」で指摘したことと同一の不誠実な回答。同時に、「評価の分布状況などを整理した資料は、作成しておりません」と回答したことは極めて重大な問題。つまり、鄯)評価の公平性・均一性の担保が必要であるにも関わらず、その検証が不十分であると自ら認めたことに他ならないのであり、この点からも第2次試行の9月実施が拙速であること、若しくは、鄱)勤務評価制度の導入を既成事実化しているため、試行結果の検証を十分に行う意思がないことの、どちらかであると言わざるを得ない。なお、「評価期間が様々であることなどから」との言い訳がされているが、期間が様々でも、それは評価とは直接の関係はないはずである。もし、期間が短く評価結果にバラつきがあると言うのなら、第1次試行が有効な検証になり得ていないことを自ら示すものである。

指摘事項4に対する回答について

連合会回答) 評価結果の給与への反映方法等については、本年9月に病院管理者や外部の有識者で構成する検討委員会を設置して検討を行い、具体化を進めていくこととしております。反映方法についても、一定の考え方がまとまったところで、貴組合に提示し、協議してまいりたいと考えております。

【国共病組の見解】
(13) 回答内容は、第1次試行結果の検証などの約束を反故にし、労使合意なき第2次試行の強行宣言と言わざるを得ないものである。
(14) 特に「賃金制度として、労使合意のない一方的な変更を行わず、労使交渉を尽くすことをお約束ください」という国共病組の指摘に対して回答を回避したことは重大である。事実上の勤務評価制度の実施宣言となっており、不当労働行為(=不誠実団交)と言われても仕方ない回答である。

以 上