使える! 厚労省「労働時間ガイドライン」
厚生労働省が「過労死等ゼロ緊急対策」を発表し、新たな「労働時間ガイドライン」を策定してから半年がたちました。ガイドラインでは、「明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間」と説明されています。「黙示の指示」とは、具体的な命令がなくても業務があるから働かざるをえない場合をいいます。業務に必要な準備や業務に関連した後始末、すぐに業務にかかるための待機、業務上必要な研修や学習などは労働時間です。着替え、情報収集、機械の立ち上げ、看護記録などの業務を時間外に行なったら、時間外労働としてきちんと申請しましょう。
「使用者には労働時間を適正に把握する責務があります」
連合会病院では時間外は自己申告制をとっているために、職場の「時間外申請できない雰囲気」の中で、労働者自らが過少申告をしたり、請求をあきらめてしまい、労働時間の適正な把握ができていない職場があります。その結果、労基法違反の不払い労働が発生しますが、病院がこれを放置してはいけません。法令遵守を徹底させることに取り組み、職場の改善を進めている私たちの仲間がいます。
立川支部、すべての勤務の「始業前時間外30分」を認めさせる
立川支部(東京)では、始業前の情報収集が時間外として認められない問題がありました。団体交渉で病院は「始業前時間外は30分認める」と回答しましたが、現場では始業前時間外が認められない状態が続きました。きちんと履行することを求めたところ、病院が日勤の始業前に限定したため、さらに追及して、2交替の夜勤の前、3交替の準夜の前の時間外を認めさせ、最後には3交替の深夜の前の時間外も認めさせて、すべての勤務の始業前時間外30分を勝ち取りました。また、病院は「上長からの指示・命令に基づくものは認める」として、命令していない業務は時間外として認めない姿勢でしたが、これもあらためさせました。
大手前支部、病院長から「適正な時間管理」の通知を出させる
大手前支部(大阪)では、時間外不払いは労基法違反であると追及し、改善を求めて交渉した結果、病院長より全職員宛に「適正な時間管理をするように」との通知が出されました。組合は過去の判例で「黙示の指示」が認められた業務を具体的にあげて、職場に時間外申請を呼びかけています。
これらはすべて業務です
25歳看護師の過労死裁判で2008年に大阪高裁が時間外労働として認めた業務
始業前の情報収集、看護計画・退院・転院サマリー、業務上の「研修会」「委員会」「会議」、新人看護師への指導、臨床指導者の実習記録の点検、プリセプター業務、看護研究