時間外の請求をしていますか? 終業時刻後の残業だけでなく、始業前や休憩時間中の労働も時間外ですが、きちんと請求できますか? 使用者(病院)は労働者を所定労働時間以外に働かせたら割増賃金を支払わなければなりません。支払わなければ法律違反の不払い労働です。
不払い労働は法律違反。札幌では2014年に労基署是正勧告
2014年にはKKR札幌医療センターが時間外不払いで労働基準監督署の是正勧告を受け、約700人の職員に対して過去2年分の時間外手当7億5000万円を支払う事件がありました。病院は「請求された分は払った」と主張しましたが、調べてみると2年間で1人当たり100万円以上のタダ働きがあったのです。とくに看護師が時間外請求ができていませんでした。連合会本部は「あってはならない」と重く受け止め、労働時間の適正管理などを各病院に指導しています。
「たった30分」の時間外が20日でいくらになるか?
「たった30分だから」と時間外請求をしない人がいるかもしれません。でも、30分の時間外をきちんと請求したらいくらになると思いますか?
①まずは自分の時給を知りましょう。あなたの月給が21万円の場合、時給は1,344円です。
210,000円×12か月÷1,875.5時間(2016年度の所定勤務時間数)→時給1,344円
②次に時間外手当の計算です。月20日勤務して、毎回30分の時間外をすると、月10時間の時間外労働です。時間外は125%の割増賃金だから……
時給1,344円×1.25×10時間→月16,800円の時間外!
「たった30分」の時間外をつけないだけで、月16,800円、年20万円ものタダ働きをすることになります。実際に自分がどのぐらい働いているか、ちょっと振り返ってみてください。もしかしたら、もっと多くの時間外労働をしているのではありませんか?
時間外請求ができる職場に! 増員で職場を改善しよう
「職場には時間外請求をしない・させない雰囲気がある」、「周りがみんな請求しないから私もできない」という話をよく聞きます。「本人が請求しないから払わない」ではなく、働いた分をきちんと時間外請求させるようにするのがまともな管理者です。
また、「自分の力不足で遅くなったから請求しない」という人がいますが、業務が時間内に終わらないのはあなたのせいではなくて人手不足だからです。みんなで時間外請求をして、「人が足りない! 増員が必要だ!」と病院に訴えましょう。みんなで定時に帰れる職場を目指しませんか?