看護師の離職が止まりません。「離職率10%」の大きな要因である過酷な夜勤交替制労働は、看護師の慢性疲労につながり、医療事故リスクを高めます。諸外国では労働時間や勤務間隔に規制がありますが、日本では罰則のない「月8日夜勤制限」しかない状態です。人間の生理機能を無視した2交替制16時間夜勤や、勤務間隔の短い(そのうえ残業がある)日勤−深夜、準夜−日勤が横行しています。このような状況は早急に改善されなければなりません。
ILO看護職員157号勧告(日本未批准)
- 1日の労働時間は時間外労働を含めて、12時間を超えるべきではない
- 交替勤務を命ぜられた看護職員には次の交替との間に少なくとも連続12時間の休息期間が与えられなければならない
虎の門 2交替試行で労使確認書
虎の門支部では昨年から半年余り、9階北・南病棟(整形外科)への2交替制導入をめぐって労使交渉が続いてきました。
病院・看護部の頑なな姿勢の前に、3月からの試行実施そのものは阻止できませんでしたが、当初提案の一方的実施を2回止め、3月実施にあたっては下表のような確認書を締結しました。その力となったのは、支部の徹底した宣伝行動です。病院は「2交替実施は職場の総意」と言っていましたが、最終的な記名アンケートでは、賛成20名(チーフナース3名含む)、反対12名、どちらでもない15名という状況まで追い詰めました。職場からは「16時間夜勤は不安」という声が強く出され、職員からは「確認書取るなんてすごいね」などの声も出ています。支部は3交替に戻させようと引き続きがんばっていきます。
2交替試行について労使が確認した内容
(1)アンケートで異動を希望した職員は4月に異動を行う。2月に病院の説明を受けて新たに異動を希望した職員についても意向を尊重して対応する。
(2)試行期間は長くとも3月から6月の4か月間。7月以降についてはあらためて労使協議を行う。
(3)5月の連休明けに無記名のアンケートを実施。病院は3月末までに組合にアンケート案を提示し、調査内容の協議を行う。
(4)勤務条件は以下のとおり。
- 平日は北・南病棟とも3人夜勤とする。
- 1人月8日(4回)夜勤、土日・祭日は最大限3人夜勤となるよう配慮する。やむを得ず2人夜勤となる場合は、チーフナースやベテラン看護師を配置。
- 休憩時間は、準夜帯30分+深夜帯90分の120分。仮眠のための90分がきちんととれるようインターバルをおき、基本となる休憩時間を明示する。
- 休憩時間以外に、20分程度の夕食時間がとれる。
- 夜勤明けは連休となるよう最大限努力する。