「看護師特定能力認証制度」ってご存知ですか?
特定の医療行為を担う看護師(特定看護師・仮称)の能力を、「看護師特定能力認証制度」(以下、認証制度)として国が認証し、侵襲性の高い医行為を担わせるというものです。政府は、この認証制度を「社会保障と税の一体改革」の中にいれ、国会で議論・決定する準備を進めています。私たちは、安全な医療の提供と看護の専門性を守るために、この制度に反対します。
なぜ認証制度がでてきたのか
チーム医療の推進に関する検討会
チーム医療推進を目的として2009年スタート。しかし、2010年3月、特定看護師(仮称)の創設等を求めた報告書を提出。
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チーム医療推進会議
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チーム医療推進方策検討WG/チーム医療推進のための看護業務検討WG
検討会を後継した「チーム医療推進会議」は、2つのワーキンググループ(WG)で調査と検討をすすめ、看護師特定能力認証制度骨子案を出した。新たな業務独占資格の創設が、一般の看護師の業務縮小につながるとの意見に対応したもの。
「特定行為」も修得のためのカリキュラムも検討が続いていますが、反対もあり、WG内での意見は一致していません。
特定行為とは
2012年4月23日のWGでは、看護業務実態調査203項目のうち56項目の検討内容が示されました。
医療の業務 | A 絶対的医行為(56項目中1項目) | 局所麻酔(硬膜外・脊髄くも膜下) |
認証を受けた看護師の業務 | B 特定行為(56項目中29項目) | |
B1 行為の難易度が高いもの | 経口・経鼻挿管実施、褥瘡壊死組織のデブリードマンなど14項目 | |
B2 判断の難易度が高いもの | 抗がん剤等の皮下漏出時のステロイド薬の選択・注射実施、人工呼吸管理下の鎮静管理など15項目 | |
看護師の業務 | C 一般の医行為(56項目中18項目) | 造影剤使用検査時の造影剤投与など |
保助看法改正を急がずに議論を
認証制度骨子案では、「特定の医行為が診療の補助の範囲に含まれることを明確にするとともに、その実施方法を看護師の能力に応じて定めることにより、(中略)適正かつ効率的に看護業務を展開する枠組みを構築するため、保健師助産師看護師法(保助看法)の改正を行うこととする」としています。保助看法の改正だけですませ、どの業務を誰が行うかは政省令で行うというものです。
看護師や医療の受け手である国民・患者に広く知らせ、議論することが必要です。