「雇用の安定化」の無期転換を回避する5年上限は労契法違反
連合会の非常勤職員就業規則改正案は、有期労働契約時に反復更新を5年上限として、5年目に「院長の認めた者」に希望確認して無期労働へ転換し、それ以外は「雇止め」です。労働契約法第18条に定められた労働者からの無期転換申込権を予め奪い、それ以降の有期労働契約の更新もさせない不当な内容です。11月16日、組合は意見書と要求書を提出し、労使協議を申し入れました。
国共病組の意見
1.「雇用の安定化」の法の理念にもとる
貴職が改正案の根拠とされている労働契約法の今般の改正の目的は、「有期労働契約の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安を解消し、また、期間の定めがあることによる不合理な労働条件を是正することにより、有期労働契約で働く労働者が安心して働き続けることができる社会を実現するため」(平成24年8月10日厚生労働省労働基準局長「労働契約法の施行について」)とされている。そのため、改正労働契約法第18条では、有期労働契約が5年を超えた労働者は6年目に発生する無期転換申込みの権利を行使して、7年目から無期転換されることにより、雇用の安定化が図られている。しかし、改正案では、「雇用契約締結の際、反復更新による通算可能な契約期間を5年以内となるよう定め」、5年目に「院長が必要と認めた者」に対して希望を確認し、希望者は6年目から無期転換する。1年早く無期転換する可能性があるという点では法を上回るが、一方で、「院長が必要と認めた者」以外の者は希望を聞かれることなく5年で雇止めになる。これは労働契約法第18条違反に他ならない。2.5年を契約更新の上限とすることは、脱法行為で許されない
改正案の「雇用契約締結の際、反復更新による通算可能な契約期間を5年以内となるよう定める」理由が不明である。改正労働契約法第19条では、合理的な理由がなければ雇止めはできないとする「雇止め法理」が明文化された。貴職の説明するように、「毎回雇止めされる可能性はある」とはいえ、契約書には「更新の可能性あり」と書きこまれ、当然、労働者には毎回、更新への期待権が発生する。それを4回も繰り返しておきながら(半年契約であれば9回も更新しながら)、無期転換申込権が発生する直前に雇止めするのは、「無期転換の法の適用を回避するため」に他ならず、到底許されない。
国共病組の要求
有期労働契約で働く労働者が安心して働き続けることができるために、下記を要求します。
1.改正案の「雇用契約締結の際、反復更新による通算可能な契約期間を5年以内となるよう定める」条項を削除すること。
2.すでに5年を超えて有期労働契約を反復更新している労働者について、本人の希望を確認して、希望があった場合は次回更新時に無期労働契約に転換すること。
3.5年未満の有期労働契約を反復更新している労働者について、全員を対象に、雇い入れ時から5年目の年に本人の希望を確認して、希望があった場合は無期労働契約に転換すること。
4.上記2、3の労働者が無期労働契約に転換することを希望しない場合は、有期労働契約の更新を可能にすること。
5.非常勤職員就業規則準則第33条3項の「退職手当は支給しない」規程を削除し、院長判断で非常勤職員に対する退職手当の支給を可能にすること。
6.厚生労働省「労働契約法改正のポイント」リーフレットには、「有期労働契約で働く人の約3割が、通算5年を超えて有期労働契約を反復更新している実態にあり、その下で生じる雇止めの不安の解消が課題となっています。」とあります。この就業規則改正により、連合会病院で有期労働契約で働く労働者にどれだけの影響があるか、その実態を明らかにすること。
連合会病院全体で、有期労働契約で働く労働者の、(1)5年未満の人数、(2)5年以上の人数、(3)平均勤続年数、(4)もっとも長く働いている者の勤続年数
なお、改正案では「実施時期 平成28年(2016年)1月1日」を提案されていますが、別紙意見書で指摘したように問題点は多く、労使協議は緒に就いたばかりです。十分な時間を確保して労使協議を尽くした上での実施を求めます。
非常勤職員のみなさん、雇用を守るために労働組合に加入しましょう!