抜け穴だらけの改正労働契約法に伴う連合会提案
2013年4月1日の労働契約法改正により、「有期労働契約が通算で5年を超えて反復更新された場合は無期労働契約に転換すること」になりました。雇止めの不安が常につきまとう有期雇用から安定した無期雇用への転換が進めばいいですが、かえって5年雇止めが大量発生するという懸念があります。現に大阪大学や早稲田大学などでは、法改正を悪用して、非常勤講師の契約を上限5年とする就業規則を制定して問題となっています。連合会も規則の整備をしたいと提案してきましたが、その中身は……
〈連合会7月17日付提案の問題点〉
(1)5年雇止めの可能性がある
(2)契約と契約の間に6か月のクーリング期間をおけば、また有期で契約できる
(3)無期に転換しても、非常勤が常勤になるのではなく、労働条件はそのまま
(4)非常勤の定年を常勤にあわせて60歳とし、再雇用の上限を65歳とする。
事情によっては70歳まで延長可。
非常勤に「退職手当は支給しない」規定を撤廃せよ!
(1)〜(3)は法律どおりの内容ですが、これはひどい。格差の固定化につながりかねません。(4)は、法律は定年の設定を求めていませんし、国家公務員の非常勤にも定年はなく、連合会独自で設けたいとしているものです。現在、非常勤職員は何年働いても退職金がありません。その代わりに定年もないので、60歳を過ぎても生活費を得るために働いています。非常勤職員に定年を設けるならば、非常勤職員就業規則の「退職手当は支給しない」規定を撤廃して、きちんと退職手当を支給すべきではありませんか?
資料をちゃんと提示したか? 都労委第4回調査
7月23日、新給与制度に関する団体交渉が誠実に行われたかどうかを争う東京都労働委員会第4回調査が開かれました。今回は、交渉資料をきちんと連合会が提示したのかが争点となりました。組合は、5年2号俸昇給があるこれまでの給与制度と、それが廃止される新給与制度を比較するモデル賃金のうち、とくに人数の多い「昇格しない看護師」を比較せよと追及してきましたが、連合会は「昇格あり」のグラフ比較しか出しません。「5年2号俸昇給廃止で4400万円の減額だが、手当の見直しで4400万円増額なので人件費削減ではない」と主張しています。でも増えたのは職務手当だけで、様々な手当の全部または一部廃止、高位号俸の引下げ、「5年に1回B、20年に1回A」をとったとしても、これまでより昇給幅が抑制されて賃下げになります。連合会は勤務評価結果の分布も提示しませんが、勤務評価によって私たちの賃金を決めるのなら、制度がちゃんと運用されていることを示すべきです。次回第5回調査は10月2日(水)13:30です。さらに具体的に連合会の不誠実さを明らかにしていきます。